和歌山 · 紀伊半島
熊野速玉大社
熊野三山の一つ、新宮という川沿いの町にある神社——本宮から下ってきた古代の参詣道が、ついに海へたどり着く地点です。境内には樹齢1000年とされる御神木、背後の山には熊野の神々が最初に降り立ったとされる巨岩があります。
川の参詣道の終着点
古来の熊野参詣は徒歩だけではありませんでした。本宮から下る歴史的なルートの一つは熊野川そのものを筏で下るもので、新宮の速玉大社近くで終わります。これは他の二社へ至る森の参詣道とはまったく異なる到着の仕方です。この川のルートは今日でも、熊野川のガイド付き舟下りとして体験できます。
社殿の背後にある神倉山には、摂社・神倉神社が「ゴトビキ岩」という一つの巨岩を祀っています。「ゴトビキ」は方言で「ヒキガエル」を意味し、岩の形に由来します。日本書紀ではこの岩は「天磐盾(あまのいわたて)」と記され、神武東征の伝説と結び付けられており、熊野信仰そのものの発祥地とされています。速玉大社自体は、信仰がより訪れやすい山麓へ移った後に建てられました。
拝観:時間と料金
境内は無料で参拝できます。神宝館は同じ境内にある別の建物で、拝観料が必要です。
| 施設 | 時間 | 料金 |
|---|---|---|
| 境内 | 日の出〜17:00 | 無料 |
| 神宝館 | 9:00〜16:00 | 500円 |
| 神倉神社(538段の石段) | 日中 | 無料 |
訪問の前に
グリップの効いた靴で。特に雨上がりは石が滑りやすくなります。
毎年2月6日には、この石段を舞台に1,450年続くとされる火祭り「御燈祭(おとうまつり)」が行われます。白装束に身を包んだ約2,000人の「上り子(あがりこ)」が松明を手に538段を一斉に駆け下りる様は、地元で「山は火の海、下り竜」と形容されるほどの迫力です。日程が合えば訪れる価値があります。
もう一つの大きな祭事「御船祭(みふねまつり)」は10月15〜16日。16日には神輿の渡御に続き、熊野川で9隻の早船が御船島の周りを競漕します。御燈祭と御船祭は2016年、国の重要無形民俗文化財に一括指定されました。
本宮と那智・勝浦を鉄道で組み合わせるなら、新宮駅は実用的な中間地点になります。
本宮付近から新宮までの熊野川舟下りは季節限定で、当日券ではなく地元観光協会を通じた事前予約が必要です。
大阪から新宮へのアクセス
JR特急くろしおで新大阪または天王寺からJR新宮駅まで約3時間半、そこから熊野速玉大社まで徒歩約15分。
熊野三山を全て回るなら、新宮は海岸線の鉄道上にあるため、内陸の本宮訪問と、海岸沿いの那智・勝浦訪問をつなぐ自然な結節点になります。