和歌山 · 紀伊半島
串本・潮岬
約40本の柱状の岩が海へ連なる橋杭岩、本州最南端で上れる灯台、そして1890年の座礁事故から今も続くトルコとの絆——串本という小さな漁師町の物語です。
柱状の岩、暖かい海のサンゴ群集、そして絆を生んだ座礁事故
橋杭岩は、約1,400〜1,500万年前の火山活動で、この一帯の泥岩層に、より硬い流紋岩の岩脈が貫入してできたものです。その後、周りの軟らかい泥岩が浸食されて削り取られ、硬い岩脈部分だけが、高さの異なる約40本の柱として、紀伊大島に向かって約850mにわたり連なって残りました。地元の伝説では、弘法大師が鬼と「一晩で島まで橋を架けられるか」で賭けをし、負けを恐れた鬼が鶏の鳴き真似をして夜明けと勘違いさせ、大師が作業をやめてしまったため橋が未完成のまま残った、とされています。国の名勝・天然記念物に指定されており、岩の間から昇る日の出の撮影スポットとしても知られています。潮岬とは異なり、串本駅から歩ける距離にあります。
串本周辺の海域には、世界最北とされる大規模な造礁サンゴの群集があります。構造としての「サンゴ礁」とは異なりますが、熱帯から遠く離れたこの緯度でサンゴが生息できるのは、沿岸近くを流れる暖流・黒潮のおかげです。1970年に日本初の海中公園として開設された串本海中公園は、このサンゴ群集を保護しながら、水族館・海中展望塔・サンゴの上を巡るグラスボートツアーを運営しています。
1890年9月、オスマン帝国の軍艦エルトゥールル号が嵐に遭い、潮岬近くの紀伊大島・樫野崎沖の岩礁で座礁しました。乗組員約650人のうち587人が亡くなり、69人が生き延びました。樫野の村人たちが生存者の救助に当たり、その物語は今も紀伊大島の串本トルコ記念館で語り継がれています。串本町はトルコの姉妹都市からの使節団を迎えて5年ごとに慰霊祭を行っています。
串本の主な見どころ
下記の3か所は海岸沿いに離れて点在しているため、路線バス・タクシー・レンタカーでの移動が必要です。
訪問の前に
橋杭岩は串本駅から歩ける距離で、約2km・徒歩20〜25分ほどです。潮岬はさらに遠く約6km離れており、徒歩は現実的ではないため、路線バス・タクシー・車での移動を考えておきましょう。
橋杭岩の岩の間から昇る日の出を撮るには、夜明け前に到着する必要があります。太陽が岩の隙間と重なるのは特定の時期だけなので、事前に確認してください。
串本海中公園のグラスボートツアーは、ダイビングをせずにサンゴを見る一番手軽な方法です。ダイビングのライセンスがあれば、直接潜ることもできます。
橋杭岩では過去に10月末〜11月上旬頃、夜間のライトアップイベントが行われたことがあります。この時期に訪れるなら、観光協会のイベント情報を確認してください。
駅前や潮岬周辺に泊まるなら、Booking.comで串本のホテルを検索すると、町内の小さなホテル・旅館が見つかります。
大阪から串本へのアクセス
JR特急くろしおで新大阪・大阪・天王寺から串本駅まで約3時間半。白浜・紀伊田辺から同じ路線で続けて南下します。一部の列車は白浜止まりのため、直通か乗り継ぎかを事前に確認してください。
串本駅から橋杭岩までは徒歩で行ける約2kmの距離です。さらに先の潮岬へは路線バスまたはタクシーで向かいます。
串本は紀伊勝浦・新宮と同じ海岸線の路線上にあるため、那智・勝浦エリアと組み合わせた長めの周遊にも組み込みやすい立地です。